灼熱を抱きとめて
モハーヴェ砂漠横断
20 June 2024
どんな素晴らしいライドも、ビジョンを持つところから始まリます。これは時に内面からの感情であったり、外界への反応であったりもします。思い描いたとおりのビジョンが実現することは、めったにないと言えるでしょう。ライド自体は、一旦動き出すとまるで自分の意思があるかのように、流動的です。すでに旅の全貌が完全に見えていたら、それはもはや冒険ではなくなってしまいます。すべてを委ねてみたときに、最高のライドが生まれることになるのです。
それは、最も暑い気候に対応するライドウェアを究極のテストにかけるという、ミッションから始まりました。ロサンゼルスとラスベガスの間に位置する、不毛で、風が吹き荒れ、砂が吹き荒れる、モハーヴェ砂漠。しかし、一旦この砂漠に足を踏み入れると、自分がどこにいてどこに向かっているのかもわからないと感じるのです。
問題は、誰がそのようなミッションに参加できるかということでした。
この 「砂漠の幻影」には、暑い中でのライドを何よりも愛する2人のライダーが必要だったのです。アメリカで最も暑く、最も荒涼とした風景のひとつを疾走するチャンスに酔いしれる、二人組。
そこに突如浮上したのが、ロサンゼルス在住のAndrew Jacksonでした。Andrewは、サイクリングに対するユニークなスタイルとアプローチを持っており、同時に周囲を元気づけるパーソナリティを持っています。
私たちは彼に参加を問いかけました。
「いいよ、やろう!」とすぐに返答があったのです。
さあ、あとはもう1人のライダーを見つけるだけです。しかし探し始めてすぐ、私たちは、誰もが私たちのビジョンを共有しているわけではないことに気づきました。「1日でモハーヴェ砂漠を横断する」ことは、どんなサイクリストも気軽にできるようなことではありません。
何ヶ月も費やしましたが、一向に相応しい人物が見つかりませんでした。想定していた様々なスケジュールの変更が迫られていました。もうこの計画は頓挫してしまうのでしょうか。
そんな時、Andrewは依頼されて、撮影のためにフィリピンを訪れました。彼がフィリピンに到着すると、まず目に飛び込んできたのは、サイクリストたちの活気あるコミュニティでした。そして彼はMuzcaliに出会ったのです。バンコクに住むMuzcalliは、自転車における努力とスタイルのコンセプトを体現している1人と言って良いでしょう。彼女は情熱的な性格で、自分の限界を見つけるために挑んで行くのが大好きです。まさにAndrewのファインダーに焦点が合った瞬間でした。彼はMuzcaliに問いかけました。
「いいね、行きましょう!」すぐに返答があったのです。
この時点ですでに企画していたライドまで3週間を切っていましたので、すぐに準備に取り掛からなければならなかったのです。電話をかけて旅の手配をし、撮影クルーを集める。ビザ取得はギリギリのタイミングでした。やっとこの企画の形が整ってきて、現実のものになろうとしていました。
ライダーたちはモハーヴェ国立保護区を横切る、険しいジープロードを走ることになっていました。ライダーたちにとっては、風光明媚で魅力的なルートです。限界をテストするにはぴったりの、思い描いていたビジョンでもありました。
しかし、私たちが想定していなかったことのひとつが、モハーヴェ保護区でのカメ達の交尾シーズンでした。パークレンジャーたちは、決してこの重要な時期の邪魔はさせません。こうして私たちのルートが突然消滅したことに大きなショックを受けた私たちは、すぐに地図を描き直さなければならなりませんでした。アメリカのこの不毛の地には、横断するための道路はほとんどありません。私たちに選択肢はないように感じました。高速道路は、ライダーの心を引きつけるような特徴に乏しいのです。
そこで、地元をよく知る友人にコンタクトを取りました。ロサンゼルスとラスベガスを結ぶ、まさにこの砂漠を横断するランニング駅伝「スピード・プロジェクト」の創設者に、悪名高い「パワーライン・ロード」について話を聞きました。それはラスベガスとカリフォルニア州バーストウを結ぶ、電線がそびえ立つ山裾をうねうねと走る、どこまでも続く未舗装道路のことです。「走れるよ」との一言でしたが、私たちにはそれで十分でした。延々と続く高速道路に代わるダートです。
そこを走り切るしかありません。使命が明確になりました。カメたちは幸せな時間を過ごしてくれればいいのです。
砂漠の端から端まで、風光明媚な舗装路とアドベンチャー感満載の未舗装路を往く160マイルのルート。ライダーが自分自身と暑さ対策用のライドウェアを究極のテストにかけ、自分の限界の限界を見つけるためのルートとビジョンがここにありました。ただ'走るだけじゃない。それは私たちが大切に思っていることでもあります。
AndrewとMuzcaliがどのように困難に立ち向かったかは、6月25日(火)公開の最新作『Cracked』でぜひご覧ください。
ライダーの紹介
Andrew Jackson
ロサンゼルスで生まれ育ったアンドリューは、プロBMXライダーとしての経歴を生かしたサイクリストです。彼は、都市環境のあまり知られていないエリアを探索するのが好きで、シティ・トレイルを得意としています。
@andrewjacksonMuzcali
タイのバンコクで生まれ育ったムズカリは、Raphaのアンバサダーであり、とにかくライドすることに魅せられています。 ピラティスのインストラクターでもある彼女は、ピカピカの舗装路を楽しむのと同じくらい、悪路での大冒険を愛してやみません。
@muzcali彼らが着るライドウェアについて
MuzcaliとAndrewはRaphaのパフォーマンス・コレクションであるPro Teamを着用します。 完璧なレーシング・ウェアを作りたいという想いから生まれたPro Teamは、軽量エアロダイナミクスと最先端の素材を使用し、あなたの最高のライドを引き出すために工夫されています。また、このミッションのために、彼らは最も暑いコンディションでパフォーマンスを発揮できるよう、最も軽量で通気性の高いレイヤーを着用しました。
暑い季節を乗り切るためのガイド
真夏の日差しの中で走る - メンズ
夏のライドシーズンに突入すると、身体は益々動くようになって走る距離は長くなり、スピードも速くなっていきます。そんなライドに適したウェアの選択や必要な機能について、十分に考慮する必要があると言えるでしょう。
メンズ ガイドを見る >>